■所有している山をどうするのか
山林を売却したいものの、どのように手続きを進めたら良いかわからずに、頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。
手つかずでそのまま放置している山林を所有し続けていると、所有者が亡くなったときに相続税が発生するなどの問題を引き起こすことがあります。
ただ、山林の売却は誰もが経験することではなく、本当に売れるのかどうか、売却の際トラブルは発生しないだろうかなど、不安は尽きないでしょう。
そこで本記事では、持て余している山林を売却したい人に、山を売る際の注意点について説明します。
■山を売りたくなったらどこに相談する?
所有している山を売却するには、不動産会社に相談します。
不動産会社というと、物件の賃貸や家の売買などを想像しますが、土地や物件の売買から、山林の売買まで手掛けているのです。
不動産会社は、山を買い取りたいという人を見つけてくれるほか、売却に関連する相談に乗ったり、必要な手続きのサポートをしたりしてくれます。
売却前の相談を無料としている不動産会社がほとんどです。
山の売買に関する無料相談を実施している不動産会社が近くにあれば、問い合わせてみると良いでしょう。
■山を売却する主な流れ
依頼を検討している不動産会社に問い合わせ、売却について相談します。
その際、山の広さや所在地、購入価格、売却価格など伝えます。
できるだけ詳細を伝えるのが理想ですが、不明な場合はその旨を不動産会社に伝えましょう。
その後、不動産会社は現地に入り、必要な作業などを確認しますが、これが現地調査です。
その際、山の所有者は調査人に同行します。
不動産会社は、現地調査終了後に見積もりを出します。
正確に見積もりを出してもらうには、以下の書類が必要です。
- 登記事項証明書
山の地番など、所有している山に関する詳しい情報が記載されている書類です。
「登記事項証明書」は、「登記簿謄本」と呼ばれることがあります。
この書類は、法務局で取得可能です。 - 公図
山の所在地や地形などを把握するための図面を、公図と言います。
公図は、登記所で取得可能です。 - 固定資産税の課税明細書
所有している山に対して、固定資産税が毎年課されます。
その際に山林所有者は役所から書類を受け取りますが、その書類が「固定資産税の課税証明書」です。
もし書類が手元にないという場合は、自治体から発行してもらいましょう。 - 地盤図
通常の地図とは異なり、地質状態を地図化したのが、地盤図です。
必ず必要になるというわけではありませんが、提出が求められることもあります。
地盤に関する情報は、国土交通省らが運営している「国土地盤情報検索サイトKuniJiban」で確認できるほか、「地質調査総合センター」では、東京都内の地盤図を公開しています。 - 現地調査後、不動産会社は見積もりを提示します。
見積額に納得した場合は、不動産会社に売却を依頼しましょう。
この時点で所有者と不動産会社は、売買契約を結び、売却する山に関する情報が公開されます。
山の整備など必要に応じて作業や諸手続きが実施され、買い手がつくのを待ちます。
■山を売却する際の注意点
山を売却する際、いくつかの注意点がありますが、主なものをご紹介します。
・売却前に境界線を明確にしておく
もし売却する山の範囲が曖昧な場合、売約前に境界線を明確にしておくことをおすすめします。
売却後、隣地の所有者が「そこは自分の所有地だ」と、主張してくるのを防ぐためです。
境界線が曖昧なことによる土地のトラブルは珍しくありません。
売却前に隣地の所有者と話し合い、境界線を決めておくことが賢明です。
・山林の売却に慣れている不動産会社を選ぶ
山林の売却は、不動産会社が取り扱っていますが、すべての不動産会社が得意としているわけではありません。
山林の査定は、専門知識が伴いますので、山の売買に慣れていて、その道に詳しい専門家による査定が必要です。
山を適切に評価してもらうためにも、山林の売却に慣れている不動産会社を選ぶことをおすすめします。
・仲介手数料に注意する
不動産の売買は、「宅地建物取引業法」によって規制されていますが、山の売却は対象外です。
そのため、山を売却する際に生じる仲介手数料は規制を受けず、各不動産会社によって異なります。
良心的な不動産会社は、宅地建物取引業法を参考に仲介手数料を設定する傾向がありますが、そうでない不動産会社に依頼してしまうと、高額の仲介手数料を請求されるリスクがあります。
こうした問題を避けるには、事前に不動産会社に仲介手数料について確認しておくことです。
一つの会社だけでは高いか安いかが把握しにくいため、複数の不動産会社に問い合わせると良いでしょう。
■買い手がつかない場合は?
山の売却の問題の一つに、買い手が見つかりにくいというのがあります。
売却を依頼したものの、買い手がつかずにそのまま所有し続けると、相続税が発生することになるのです。
売れ残った山に課される相続税の発生を避けるには、最寄りの自治体に寄付するか、山林を引き取ってくれる不動産を探すという方法があります。
どちらの方法も、売却によって利益は得られませんが、たとえば、3,000万円の相続税評価額を持つ山に課される900万円(税率30%として計算)を支払う必要がなくなります。
山林の引取先を探すことが困難な場合は、税金対策に強みを持つ法律事務所などに相談すると良いでしょう。
■まとめ
所有している山の売却について説明しました。
山の売却は、うまくいけば相続税を支払うことなく、売却し、利益を得ることができます。
山林の売買に詳しい不動産会社を選び、適切に作業を進めて、納得のいく売却を目指しましょう。