■手入れが行き届かない山や山林の放置が問題に
山や山林を相続したけれど使うあてがない、祖父の代から相続するだけでまったく使ってもいないし、訪れたこともないといった方が増えています。
都心で暮らす方が増え、山や山林を所有する先祖代々の土地とは無縁の生活を送っている人が多いのが実情です。
また、山や山林を所有する地域に暮らし続けていても、高齢化で林業を廃業している場合や子ども世代は別の仕事の道に進み、後継者がおらずに放置されている山や山林も少なくありません。
所有しているだけでも、固定資産税などの税金負担がかかるほか、山崩れや老朽化した木が倒壊するのを防ぐため、本来であれば、手入れもしていかなくてはなりません。
ですが、手入れもされず、漫然と放置されているケースも少なくなく、地域で抱える問題の一つになっています。
■所有している山や山林は今後どうすべき?
地方の山や山林はこのまま所有し続けていても、価値が上がって高く売れることはほぼ考えられません。
少子高齢化が止まらない日本では、かつてのように山林を切り開いて宅地造成を図ることやリゾート施設などを構築するといった需要もなく、大手ディベロッパーや観光業者やホテル、商業施設の運営会社などから打診があることも、ほぼ期待できません。
近年はアウトドアブームやソロキャンプブームなどが沸き起こり、山を買いたいというニーズが少しずつ増えてきました。
会社員や主婦などさまざまな人が山を購入する動きがありますが、一般個人が買う場合、せいぜい200坪から300坪程度で、山全体のごく一部を切り売りすることになります。
所有関係が複雑になり、かえって面倒になるほか、多くの山林が残されている以上、管理の手間やコストは残されることになります。
先祖代々持ち続けきたし、使わなくても相続し続けてきたから、今後もそれで良いなんて考えていませんか。
山や山林を売却して土地開発などがされるより、そのままにしておいたほうが自然が残り、環境破壊が起こらず、地球温暖化防止に貢献できると考える方もいます。
ですが、ただ放置するのと、人間と自然が共生していくのでは全く状況が異なってくるため注意しなければなりません。
■山は活用しないと危険
自然を残すためには人は立ち入らないほうが良い、何も触らずにありのままの状態にしておけば良いと思っていませんか。
それが昔ながらの利用の仕方であり、環境破壊が進む現代社会においては、放置していたほうが自然環境保護につながると思われる方も少なくありません。
ですが、国土の7割が山林を占める日本では、山林と共生しながら生きてきた歴史があります。
薪を得るために木を切ることや家や家具を造るために木を切り倒して活用することで、古い木を伐採し、若い木の成長を促すなど、山の新陳代謝を図ってきました。
手つかずに自然を残すのではなく、人の暮らしに必要な範囲で適度に活用して新陳代謝を図ることで、山崩れや土砂崩れや洪水などの自然災害の防止が図れます。
もちろん、過度な宅地開発などを行って自然環境を破壊すれば、その機能を果たせなくなりますが、山と共生を図ることが大切なのです。
■山林は適度に手入れを入れて上げることが大切
薪や材木を得るために木を切り倒したり、春には山菜を摘んだり、筍を堀り、秋にはキノコ狩りや栗拾い、柿狩りをするなどして山に人が入ることで、山林は活性化され、良い状態に保つことができます。
山や山林を使用することがなくなり、ただ所有しているという方でも、この営みを知っている方は、近所の方や地域の方に山林を解放し、四季に応じて山での活動を楽しめるようにしています。
一方、私有地につき立ち入るべからずといった立て札を立て、ロープを張っているような山林は荒れに荒れ、伸びすぎた木や老木がいつ倒壊し、土砂崩れなどが起きてもおかしくない状況になっているケースも少なくありません。
■山や山林を売って活用を
とはいっても、自分たちでは活用することができない、難しい方が多いはずです。
その場合には林業を専門とした業者など、適切な知識を持って有効活用してくれる事業者に売却するのがおすすめです。
リゾート開発会社やマンションディベロッパーなどでは、自然破壊につながりかねません。
もちろん、近年ではバブル期と異なり、こうした開発の需要も薄れて売りにくくなっています。
環境保護を図りながら自然と共生して自然災害を防止し、木材等の有効活用を図っていくには林業を専門とした業者が適任です。
■まとめ
林業を廃業した場合や利用するあてはないけれど、先祖代々の山や山林は売りたくないという方も、木だけを売却することも可能です。
人が入らず、放置状態の山林は木も伸び放題となり、老朽化が進んで、地震や豪雨などの自然災害時に倒壊するなど、被害の拡大を導きます。
山や山林を良い状態に保つためにも、木を売却してみてはいかがでしょうか。
売却した利益を山林の管理にあてることもでき、所有している山や山林の環境改善につなげることができます。