伐採後に求められる木材の現状と活用

■伐採後に求められる木材の現状

国土の7割を森林が占める日本では、古くから林業が盛んで、木材を使ったものと共生する暮らしが長く営まれてきました。
木造住宅をはじめ、木の家具を使い、囲炉裏に薪をくべ、お風呂や炊飯も薪を使って行っていました。
木のいかだや船で漁業や川を渡る移動手段とし、線路の枕木にも木が使われてきたものです。
障子や半紙をはじめ、紙パルプの製造で日本の紙文化を後押しする役割も果たしてきました。
飲食店においては割り箸を使うのが基本でしたが、近年は輸入の安い割り箸を使うのが常態化しています。
今でも残っている利用手段は多数ありますが、時代や環境の変化、人々のライフスタイルや考え方の変化により、少しずつ木材の需要は減ってきました。
木造住宅は火災や地震に弱いとされ、防災の観点からマンションやRC構造の一戸建てへシフトする動きも増えています。
一方で、日本の材木は高品質で高級なことから、木造住宅を建てるうえでは、安い輸入建材が使われることが増えていったのです。
少子高齢化により、住宅を建てるニーズも、高度成長期やバブル期以降、減少傾向にあります。
家電製品や便利な機器が増え、薪を使う機会も減っています。

■環境との共生も不可欠

林業は山林を活性化させ、循環化社会を推進していくうえで不可欠な事業です。
もっとも、無秩序な山林開発などは自然環境を破壊し、山崩れなどの災害を招く要因となることや辺りの森林資源が枯渇して環境悪化や地球温暖化の促進につながりかねません。
売らんがためだけの林業に陥ることなく、自然と共生しながらの事業がより強く求められる時代です。
切り倒して商用利用するだけでなく、植林を行うなどしながら、山林の新陳代謝を図っていくことが一層求められています。

■国産材を使った住宅づくりを促進

災害に強い住宅づくりの観点からRC構造の住宅やマンションが選ばれることや少子高齢化で木造住宅を建てる人が減少傾向にあります。
建売住宅をはじめ、注文住宅においても低コストで受注するために、輸入材の合板を用いた建築が増える一方でした。
もっとも、近年の健康志向やスローライフブームなどに伴い、少しずつ、日本建材を見直す動きがあるのは大きな注目ポイントです。
かつては安い輸入合板に比べ、ヒノキやスギなどの国産の材木を使うのは、高級住宅でないとできず、実際に億単位の邸宅となるケースもありました。
ですが、現在では純和風の高級な邸宅を建てるためではなく、ナチュラルで快適な住まいづくりのために、国産の無垢材への人気が高まっているのです。
自然な木目が活かされ、材木になってからも呼吸を続けて調湿機能を発揮し、接着剤で合わせた合板と異なり、ホルムアルデヒドなどのアレルギーリスクも少ない、安心で快適で長持ちする住宅づくりに役立ちます。
今後はハウスメーカーや工務店などとも、より協調を図り、国産無垢材を用いた住宅をスタンダードモデルとして販売を促進するなど、国産材の活用を後押しする取り組みが求められます。

■国産材を使った家具のニーズを増やす

後進国の工場で安く作られた逆輸入家具が需要を拡大していった中、近年は北欧家具など高級輸入家具の人気が高まってきました。
これをきっかけに国内でもデザイナーズ家具やオーダーメイドの手作り家具、住宅に据え付けの家具のニーズも高まってきました。
こうした需要を見逃さず、さらに需要喚起できるよう、家具職人の後押しや育成もサポートすることや林業に携わる人自らが家具づくりなどに乗り出すのも一つの道です。

■伐採後に求められる木材の有効活用

環境保護や地球温暖化防止といった新たなニーズが求められる時代にあっては、木材を切り出した後の間伐材や材木に削り出した際に出るおが屑さえ無駄にすることはできません。
切り出した木のすべてを利用し尽くすような、活用法が求められています。

■薪ストーブの人気を後押し

住宅建設のためなどに成型、切断して中途半端に余った材木も、薪ストーブの薪などに活用が可能です。
近年、別荘をはじめ、薪ストーブのインテリアとしての人気が高まっており、こうした需要を輸入材ではなく、国産材の有効活用で後押ししていきたいところです。

■間伐材などを使った小物で需要喚起

削り取った破片や形がいびつな部分なども、カゴや小物入れ、箸やコースター、携帯ストラップやキーホルダーなどさまざまなアイテムづくりに活用が可能です。
工芸品のアーティストや地域の土産物店や飲食店などともコラボレートし、新たな製品開発と需要喚起に取り組んでいくことが求められます。

■バイオマス発電でエコ

材木を削り出した後のおが屑や小片など、これまで利用しきれずに廃棄されていたものも、無駄にはできません。
地球温暖化防止にも貢献できる、再生可能エネルギーの一つとしてバイオマス発電などに活用が可能です。
もっとも、発電所の設備づくりや廃材などを収集して発電所へと供給する仕組みづくりなど、林業業者をはじめ、地域のネットワークづくりも欠かせません。

■まとめ

いかがでしたでしょうか。
木材の使用用途は減ってきていると思われがちですが、実は新たな用途に活用されています。
今後も木材の活用に注目してみてください。

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