古くからまな板、下駄の歯で親しまれてきた朴の木はどんな木?

  • 2021年6月3日
  • 2021年6月3日
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■朴の木の概要

朴(ほお)の木とはどのような気なのでしょうか。
朴の木は、モクレン科ホオノキ属に属する「ホオ」という落葉広木のことです。
ホオノキ、ホオガシワとも呼ばれます。
樹高20~30m、幹の直径は1mにもなる大型の木で、日本列島ほぼ全域の山地に自生します。
木が大きいので個人の庭木には向きませんが、見た目が美しいことから街路樹や公園に植えられているのです。
新宿御苑の大きな朴の木も有名です。
また、葉、幹が活用しやすいことからさまざまな用途にも加工されています。

■朴の木の特徴

朴の木はそれほど数は多くありませんが、全国の肥沃な山地で見つけることができ、昔から日本人に広く親しまれてきました。
主に日本に自生しますが、中国、朝鮮にも分布しています。
樹は幹がまっすぐに伸び、枝は少なく、端正で豪壮な姿をしているのです。
そして、とても大きな葉を持つところが最大の特徴と言えるでしょう。
朴の木の葉は、枝先に輪生状に互生し、葉の大きさは20cm~40cm、幅10cm~20cmと人の顔くらいもあります。
葉はホオバとも呼ばれ、大きくて芳香があること、殺菌作用を持つことから食品を包む用途にも用いられてきました。
古くはお皿や酒器の代わりとして使われ、現代では郷土料理の「朴葉焼き」「朴葉寿司」などで親しまれています。
花は5~6月ごろに咲きます。
色はクリーム色、花弁6~9枚からなる直径15cmほどの大きな花です。
そして、仲間であるモクレンと同様に、開花時には甘い芳香を漂わせます。
自家受粉を避けるため、1つの花におしべとめしべがある両性花になっており、開花1日目におしべが熟す、2日目にはめしべが熟す、というユニークな仕組みも見られます。
樹高が高く枝先に花を咲かすため、下から見ても花が見えにくいこともありますが、初夏の季語に「朴散華」という言葉もあるほどに、花が散る様は圧巻です。
ちなみに花言葉には「持続」「自然の愛情」があります。
朴の木はアレロパシー物質を持っており、ほかの植物の成長を抑える作用があります。
そのため、落ち葉がほかの植物を寄せ付けず、朴の木の下には雑草が生えていません。
幹は、樹皮が灰白色で、樹齢を重ねても樹皮がなめらかで裂け目がないところが特徴です。
ホオノキオール、マグノロールなどの芳香成分が含まれ、独特の芳香を持ちます。
また、乾燥させた樹皮はアルカロイド、精油、リグナンなどが含まれ、腹痛、咳、痛み止めなどの薬効作用があるとして、生薬「厚朴」に用いられてきました。
木の成長が早く、材は比較的柔らかいので家具や工芸などに幅広く用いられています。
しかしながら、ほかの木に比べ採取できる数が少ないため、希少価値が高くなっているのです。

■木材としての特徴と用途

木材としての朴の木は、広葉樹の特性として道管の穴が均等な散孔材になっており、気乾比重の平均値は0.49程度とやや軽めです。
色調は、辺材がくすんだ灰色、心材がくすんだ緑色をしていることが多く、その境界は比較的明瞭です。
この色調は朴の木特有のものであり、落ち着いた風合いも一つの魅力と言えます。
朴の木そのものは全国に分布していますが、特に品質の良いものは東北、北海道の日高山脈周辺で採取され、特に品質の優れている木材は心材の色が明るく青緑がかっていて辺材の少ないものとされています。
木材としての朴の木は、節が少なく、切削加工性に優れ素性が良いことから、まな板、版木、下駄の歯、漆器の素地をはじめさまざまな用途に用いられてきました。
乾燥も容易で、乾燥しても割れにくいので工芸品などにも適しています。
私たちの身の周りで見かける製品では、朴の木のまな板が有名ではないでしょうか。
まな板にはさまざまな材質が使われているのですが、中でも朴の木は水切れが良いので衛生的で、ほど良い柔らかさと弾力性があるので、包丁の刃当たりの良いところが人気の理由となっています。
一般に木製のまな板は傷みやすい、黒ずみやすいという欠点も持っているのですが、朴の木はほかの木材に比べて欠点があまり目立ちません。
使う前にサッと水拭きしておく、黒ずんだら表面を削るといった手入れを併用することで、長く気持ち良く使うことができます。
そして、朴の木を下駄の歯に用いたもの、いわゆる昔ながらの高下駄は「朴歯」の下駄とも呼ばれています。
下駄の歯には桐を使うことが多くなっているのですが、明治時代の書生や学生が履いていた下駄には重くて丈夫な朴歯が使われていました。
朴歯の下駄はバンカラな学生に欠かせないアイテムだったのです。
朴の木は刃物を傷めない、水気にも強いことから、刀の鞘や包丁の柄などにも用いられてきました。
そのほか、乾燥後に狂いが少ないことから、大工が使う木製下端定規にも用いられています。
日用品では、鉛筆、額縁、引き出し、太鼓のばちなどにも幅広く使われています。
まさに朴の木は、私たちにとって大変身近な木材の一つと言えるのです。
(参照:一般財団法人 日本木材総合センター http://www.jawic.or.jp/woods/sch.php?nam0=hoonoki )

■まとめ

いかがでしたでしょうか。
朴の木はまな板以外にもさまざまな用途で使われてきました。
この機会にぜひ朴の木を使った製品に触れみてください。

>包丁のためのまな板「Boku」

包丁のためのまな板「Boku」

切る、置く、飾る
思いのままにそれぞれのカタチ。

Bokuのまな板で使われてい「朴(ほお)」は、まな板の御三家のひとつで、魚などを置いたときの安定性が高いのが特徴です。木質が柔らかくきめ細かなため、弾力が高く均一で包丁に優しくプロフェッショナルの現場でもよく採用されています。

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