林業の役割や仕事について知る
林業とは?
林業は山や山林などで樹木の育成や整備、建材などに使う木材の切り出しなどを行う業種です。
農業、漁業と並ぶ第一次産業の一つにあたりますが、日本においては欠かせない産業です。
日本は国土の約7割を森林が占めていますが、この森林資源を保全し、山崩れや土砂崩れなどの自然災害を防ぐためにも林業の存在が欠かせません。
林業の役割と、主な仕事内容について見ていきましょう。
林業の役割
日本は国土の約7割が森林を占めており、古くより自然と共生する暮らしを営んできました。
世界を見ると地域の特性や環境によって、造られる家も異なっています。
日本では森林に囲まれた地の利とその資源を活かし、木造の日本家屋の文化が息づいてきました。
そこで利用される家具も囲炉裏や炊飯釜、お風呂を沸かす薪も、木材が使われており、食事をするためのお箸やお椀も木の器が用いられてきました。
飲食店などで広く利用されている使い捨ての割り箸も、ほかのお箸文化があるアジアの国と比べても独特であり、森林資源が豊富だからこそ根付いた文化です。
小舟やいかだを木で作って移動手段とし、現代でも使われている鉄道の線路の枕木にも木が用いられています。
障子にも紙が張られ、全国各地で和紙の製造が行われるなど古くより紙生産が行われてきましたが、現代においても紙やパルプ製造業は日本を代表する世界に誇る産業です。
林業は日本の住宅をはじめ、日本人の暮らしに欠かせない生活用品となる素材を提供し、世界に誇る産業である紙・パルプ製造を支える、日本を代表する産業です。
自然との共生をサポート
林業の役割は、私たちの生活や産業に欠かせない建材や木材を提供することだけではありません。
植林や伐採、木々や山々の整備を通じて、自然災害を防止し、自然との共生を支える重要な役割を担っています。
手つかずの自然というと言葉の響きは良いですが、人間が生活していくうえでは、時として脅威となります。
たとえば、老木が増えた場合や病害虫に蝕まれたスカスカの木が増えれば、地震の揺れや豪雨などにより、倒壊することや土砂崩れを起こして、人間の住む場所に甚大な災害をもたらすかもしれません。
林業によって成長した木を必要に応じて切り倒すとともに、新しい木を植えることや病害虫などに山林全体が蝕まれて資源が枯渇することがないように管理することで、山林の新陳代謝が図られ、自然環境として良い状態が保たれるのです。
林業の仕事
林業の仕事は主に山林に入っての現場作業となりますが、近年では環境保護や増大する自然災害の防止、地球温暖化防止などの観点から考える仕事や企画する仕事、自然を守りながら共生していくための取り組みを推進する仕事に携わる方も増えています。
山林の整備や育成
林業のメインの仕事は山林の整備や育成です。
植林を行い、育ちやすい環境を整えるために間伐を行ったり、下草を刈り取ったり、病害虫の駆除や予防、イノシシやシカなどに食い荒らされないよう害獣駆除や予防策などを講じていきます。
一方、獣や鳥や虫のエサにな木の実や樹液などが提供されることで、害獣が里山に降りて田畑を荒らすことを防ぎ、生物の暮らしを守ることで生態系の保全も図っています。
近年、クマやイノシシ、野生の猿などが住宅街でトラブルを起こすのは、林業従事者の高齢化や産業構造の変化で林業が適切に機能していないケースが少なくありません。
林業の仕事は、自然のままに任せるのではなく、切り出しと植林を行って山林の新陳代謝を図るとともに、適度に手を入れていくことで環境保護や自然災害の防止に役立っているのです。
木材の切り出しや加工
木材の需要は幅広く、建材をはじめ、家具づくりやDIY需要、紙・パルプ産業など幅広いニーズがあります。
こうした需要に応えるために育てた木をチェーンソーなどで切り倒し、丸太の状態で出荷する大掛かりな作業を行っているのです。
中には建材への加工など、加工業務まで担い、付加価値を付けたうえで供給する従事者もいます。
木材を使った取り組みの推進
環境保護や地球温暖化防止の観点から、間伐材を無駄にしないように家具製作などに取り組みながら、地域興しを行う方や切り倒す際に出る木片やおが屑などを集めてバイオマス発電に取り組んでいるケースも増えてきました。
高齢化や過疎化で林業従事者が減少傾向にある中、新たな取り組みを通じて、若手の育成や後継者づくりにも取り組んでいるのです。
原木椎茸の栽培や筍の採取や木炭の生産
山林の整備や木材の切り出しによる提供に加え、地域の特性や環境を利用してプラスαの収益源になっているのが、原木による椎茸栽培や竹林における筍の掘り取りと出荷作業です。
また、切り出した木材を用いて、木炭生産に取り組む方も少なくありません。
木炭を作るには熱い釜の中で長時間にわたって熟成させるなど、手間も体力も時間も費やされます。
もっとも、上質な木炭の生産に魅了され、技術やノウハウを磨いている生産者も多く、木炭ブランドとして認知されているケースも少なくありません。
まとめ
林業にはさまざまな役割があります。
さまざまな取り組みも行っており、重要な役割を担っているのです。